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付き添いを交代して我が子を抱く。そのままイスに腰掛ければ途端に「うーん、うーん」と不機嫌なうなり声。ベッドに寝かせようものなら「ウェーン、ウェーン」となるのだから、看病も体力勝負。だからといって体調が悪化したわけではなさそうで、もともと甘えたがる時期なのにもってきて、慣れない環境でとにかく落ち着けないといった感じなのだと思う。
やがて嫁さんも戻って来て、あーちゃんを見守りながら、極力音を立てないように、静かに過ごす。
「いつになったら先生来るんだろう・・・」
退院の準備を完璧に整えた後、時の流れに全てを委ねる。
長い長い静寂の時間。
やがて夕方を迎え、待ちに待った医師が回診に。
「どんな感じですか?」
「熱は大分下がりました」
「じゃあ、ちょっと喉の奥を見てみましょう・・・」
先生は見事なタイミングであーちゃんの隙を突き、使い捨ての舌圧子(喉の奥を見る時に舌を押さえるヘラ)をさっと口に差し込みペンライトで口中を照らす。
「最初に見た時よりは炎症部の面積も少し小さくなりましたね」
「あとはやっぱり自然に任せるしかないんですか?」
「そうですね。まあおっぱいも水分も口から摂れるようになったことですし、明日の朝までとも思ったんですけど、これだけ元気が出て来たんですからこのまま退院出来るようにしましょう。もし熱がまた出るようでしたら、座薬を出しときますんで使って下さい。月曜日(4日後)にもう一度診せに来てもらえますか?」
「はい。わかりました。ありがとうございます!」
ほっと胸を撫で下ろし、先生の去った病室で息子を病衣から自分の服に着替えさせる。キャーキャー喜び、暴れて着替えの邪魔をするあーちゃん。誰に似たのか、まったく現金なお子である。やがて座薬と金額が“0”の入院費用の領収証を持って看護師さんが現れる。
Yちゃんは昼間、点滴が詰まってしまって先生と看護師さんとで針を入れ直した。あんなに大人しかった子が、ギャンギャン泣いて、ずっとずっと泣いて・・・。付き添い婦さんは御贔屓さんから御指名が入ったとか、交替の人が来ないとか、用事が有るから1日くらい休みを取りたいとか、電話で勤務先と揉めながら「困った困った」と連発している。俺はYちゃんに何もしてあげることが出来なかった。たった二日間、嵐のようにやって来て、ケロッと回復して去って行く“ラッキーな”子の親として、病室に残されるビジネスライクな関係の二人になんて言葉を掛ければ良いというのか。付き添いながら考え続けたけれど、納得の出来る台詞は浮かんで来なかった。
せめてYちゃんがもう少し大きければ、いくらでもお話出来たのに・・・。息子とお友達になれたのに・・・。
「どうもお邪魔しました。お大事に・・・」
無難な台詞に込め切れない溢れる想い。
Yちゃん、頑張るんだよ。負けるんじゃないよ。
重い気持ちを引きずったまま、午後5時過ぎ、我が家に辿り着く。
まだ息子の病気が完治したわけではない。
とりあえず、今はこの子に集中しよう。
出来ることを、とにかくきちんと・・・それだけが、今、俺に残された道だと信じなければ、とてもじゃないがやってらんない。
神様、どうか世界中の子供たちが笑顔になれますように・・・。
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預けてもらえただけでも・・・なんて考えざるを得ない今の世の中が嫌で嫌で堪りません。
どうしてあげることも出来ない自分の不甲斐なさにも頭来ちゃって・・・。
せめて病気だけでも早く治るように祈りたいと思います。
Yちゃんの背負っているものは、大きいですね・・・・
これから、彼女にとっていい出会いがあることを祈るばかりです。
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