スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

命名。   【起】 

 実は中学生の頃から「将来、あかちゃんが生まれたら○○って名づけよう」なんて考えていた。さして相手も予定も無い時ですら、例えば“太陽”だとか“心”だとか“海”だとかって、芸能人の名や役名などで一般に広がるずっと以前から、既にそういう名前を自力で考え出していた。
 名づけってまるで生命を吹き込むかのような気がする言霊信仰者は、当然のように「子宝に恵まれた暁には名前を付けさせてもらえないか」、「あなたも気に入る素敵な名前を考えるから」と婚姻届提出前から嫁さんにお願いし、なんとか命名権を手に入れることに成功していた。
 今時のシャレた名前や無理矢理こじつけたような名前、逆にありふれた名前というのも正直、「なんだかなぁ・・・」って感じてしまうモンで、いくつかのポイントにこだわった愛される名前を考えたいと常々思って来た。
 まずは誰でも書ける安易な漢字を用いること。読みは少し工夫しつつも一度聞けば忘れられないようなものにすること。出来れば漢字一文字、三音。きちんとした名前の由来と、字画も良いものにしたい。欲を言い出したらキリがないけど、出来れば俺と嫁さんの名前に共通する“日”という部首を含んだ漢字で、尚且つ大きくあたたかいイメージの名前にしたい。そんな基本コンセプト。
 ビシッと素晴らしい名を考えて、最終的には嫁さんの承諾と、俺の名を観てもらった御方に姓名判断をしてもらった後に決めることにした。 


 御方とはあるお寺の御住職。
 かつて事故で生死の境を彷徨って以降、無宗教になってしまった俺が、唯一、信じる御方。
 姓名判断にはいくつも流派が有るというし、“名づけ事典”の類をパラパラ見てもイマイチピンと来ない“開運”の名づけ法。調べる先々で異なる内容が書かれていたりすると若干、疑心暗鬼にすらなってくる。しかし、御住職の鑑定だけはしっかり受けておきたい。
 ガキの頃にも、二十歳を過ぎた頃にも反感を抱かずには居られなかった御住職の御言葉。
 それがその後、御仁の仰るような「若いうちは物凄く苦労する」人生をそのままに歩んで来たという紛れもない事実とそこで得た数々の教訓の前に、今ではすっかり御言葉に心を打たれるようになってしまったのである。
 御住職の御意見を伺わないわけにはいかないのだ。
 そうは言っても五年、十年に一度くらいでしか訪ねないふとどきな俺なのだけど、このバックボーンだけは曲げられないのである。

 
 嫁さんが名づけを許してくれてからというもの、勢い付いて妊娠の兆候に関係なくいくつもの名前を提案した・・・ものの、嫁さんのハードルはとてつもなく高く、却下却下の門前払い。
 実際に懐妊し、性別が判明した頃にはもう、無い知恵を絞ろうが叩こうがイメージすら湧かない状態に。
 そんなある日のこと・・・。

 仕事を終え帰宅するとリビングから漏れ聞こえてきた嫁さんの声。
「お父さんが帰ってきたよ。あーちゃん」
・・・・・・?
「お腹のあかちゃんに話しかけてんの?」
「うん。あーちゃんにね」
「あーちゃん? あかちゃんでしょ?」
「違うよ。あーちゃん。名前決めたの。あおいちゃん!」
「はぁあ!? 俺に決めさせてくれるんじゃなかったん?」
「だっていつまで経っても良い名前考えてくれないやん。あのね、“碧”って書いて“あおいちゃん”。かわいいでしょ」
「か、かわいいって、そういう問題じゃ・・・」
「じゃあ、もっと本気で考えなさいよ」
「考えたってすぐ『嫌!』とか『かわいくない』とか言うじゃん」
「だって○△は友達のところと一緒だし、◎○も前の同僚のところとかぶってるし・・・」
「そんなこと言ってたら決まらんでしょ」
「第一、今まで考えてもらったのはなんかピンとこないんだもん」
「うっ・・・」
 百歩譲って“胎児ネーム”ならばOKということで争いへの発展を防ぐ。
(俺が文句の付けようのない名前を思いつけば良いだけのことだろ!)・・・・・・苦悩の最中だったのに、更にケツに火を点けられることと相成った。

 しかし実際のところ完全に枯渇状態の俺の頭ではさして良い名が新たに浮かんでくる気配は無く、次第に日々聞かされる“あーちゃん”という響きに染められ始めて・・・。
(確かに一文字、三音だな)
(部首としてではないけど、とりあえず“日”っていう文字は含まれてるしな)
(そんなに使われる頻度の高い文字じゃないけど、簡単な字の組み合わせだし、まあいっか)
(それにしても“王”っていう字が入ってるなんてすごいな)
(待てよ、“王”様の“白”い“石”ってことは“宝物”ってことだよな。台湾旅行の時に故宮博物館で見た「翠玉白菜」(翡翠で出来た白菜にキリギリスとイナゴがとまっている清朝期のものとされる国宝)はあまり強烈なインパクトは無かったけれども、今になって思えば凄い芸術品じゃん。要はああいうイメージかもな。なんかすごいな。それに俺たちの“宝物”であることに間違いないしな)
(いっそのこと王様でも目指すような、世界をより良く変えていくような、そんなでっかい男に育って欲しいな)
(英語にしたらそのままblueだし、海外の人にも通りがいいな)
(女の子に多い名前かもしれないけど、男としてはあまり居ないもんな)
(苗字にも“石”の字、名前にも“石”でとてつもなく頑固なヤツになりそうだけど、俺の血だと思えばまぁ仕方ないか)
 何より、「あーちゃん、あーちゃん♪」とまだ見ぬ子に語り掛ける嫁さんの姿に、今更違う名を薦めることも出来なくなって・・・。
 仕舞いには(碧海・碧空・碧山・碧雲・碧水・碧天・碧瑠璃・・・と、陸海空のありとあらゆるものに繋がる自然そのものとも言える文字なんじゃなかろうか)なんて、考えるありさま。
(これだけ由来を考えれば、二人で考えたってことで充分だろう!)

 頑固さだけは人一倍自信のある俺も、いつしかすっかり“碧”の響きに魅了され・・・。 

(よし! “碧/あおい”で行こう♪)
 嫁さんに隠れ、ネットの有料姓名判断なんてものに申し込む。
 客観的な評価をコンピュータに委ねつつも、心は既に決まっていた。
 もちろん、ただ引き下がるのもなんなので、“海/かい”や“心”、“翼”や“晴/はれる”、どこかで聞いた“晃”なんて名前まで織り交ぜて最大10個鑑定してくれるというその候補欄を全て埋め尽くし、夜中にこっそりリターンキーを押した。
 もっとも、姓名判断や占いの類に“客観的”もクソもないのだろうが・・・。
 それはもう生まれても不思議ではない12月24日に日付が変わってのことだった。



                                   つづく






にほんブログ村 鳥ブログ セキセイインコへ FC2 Blog Ranking 人気ブログランキング  ビジネスブログ100選
スポンサーサイト
[ 2009/02/06 22:35 ] あかちゃん♪ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://futodoki55.blog52.fc2.com/tb.php/1145-40c0f71f















上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。